記者会見に臨む下村博文文部科学相(当時)=東京都千代田区で2015年9月25日午前9時28分、梅村直承撮影 筑波大の文系学類(学科)統合は、かつての人文社会科学系学部の廃止騒動を思い起こさせる。 背景にあるのは「実学が重視され、文系学部は軽視されているのでは」という研究者たちの懸念だ。 「人文系の研究を否定」 「師範学校からの150年の伝統がある人文系の研究を否定するもの。…

<do-ki> 大手家庭教師会社がオンライン教材に「水俣病が恐ろしいのは、遺伝してしまうこと」とウソを書いていた。胎児性水俣病への無知無理解があったのだろうか。 「誤表記」「不正確表現」と報じられたが、業者が教育の名で子供に差別を教える罪深さは、「うっかりミス」で済まされない。同じ記述が検定教科書にあったら、文部科学相はクビだろう。 検定は憲法違反かを巡り32年間争われた家永教科書裁判は、「検閲には当たらず合憲」とする最高裁判決で決着した。ただし、南京大虐殺や731部隊などに関する検定に「裁量権の逸脱」があったとし、国に自重を求めた。
『部落フェミニズム』が店頭に並ぶ書店「エトセトラブックスBOOKSHOP」=東京都世田谷区で、清水有香撮影 部落差別と女性差別のはざまで「見えない存在」にされてきた部落女性。その声は部落内だけでなく、フェミニズムの中でもほとんど無視されてきたという。 「部落女性に対する無関心はレイシズム(人種主義)そのものです」 国際人権NGO「反差別国際運動(IMADR)」で長く職員を務めた藤岡美恵子さんの、そんな指摘から始まる論集がエトセトラブックスから刊行された。被差別部落にルーツを持つ女性9人が書き手となった一冊だ。 『部落フェミニズム』を名乗る本書は、一方的に名指され、「二重、三重の差別と圧迫」の中を生きてきた部落女性たちの経験を掘り起こす。それぞれの複雑で異なる生(せい)を刻み、そこからフェミニズムを問い直すために。 <主な内容> ・レイシズムとしての無関心、攻撃的な無知 ・固有の経験から浮き
パワハラのない職場づくりの必要性を力説する津野香奈美教授=山口市で2024年11月19日午後1時59分、福原英信撮影 官民を問わずさまざまな組織で、パワハラ行為は絶えることがありません。パワハラ加害者になりやすい人の特性や、そのような人を組織としてどう処遇すればよいのか。パワハラ問題を10年以上にわたって科学的に調査、研究してきた神奈川県立保健福祉大大学院の津野香奈美教授に聞きました。【聞き手・西尾英之】 パワハラには三つの要素 ――そもそも「パワハラ」とはどんな行為でしょう。 ◆2020年6月の改正労働施策総合推進法の施行で、パワーハラスメントは「職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題」と表現され、初めて法律上の定義が定められました。 具体的には「職場で行われる①優越的な関係を背景とした言動で②業務上必要かつ相当な範囲を超えており③労働者の就業環境を悪化させるもの」という
外国人が嫌いと言うならば、日本人とはなんなのでしょうか。マルクス研究者で神奈川大学名誉教授の的場昭弘さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――日本、日本人とはなんでしょう。 ◆我々が日本人だと考える存在は、ただ日本にいるというだけではありません。日本という国に帰属し、日本語を話し、日本国籍を持っているなどさまざまな要素があります。日本という国も固有の領土があり、固有の歴史があるとされています。そうした考え方は近代にできたものです。 フランス史、ドイツ史というような一国史の考え方が出てきたのは普仏戦争(1870~71年)以後です。そのフランス史ではフランスは2000年の歴史があり、固有の領土があり、となっています。 もちろん実際は違います。私が住んでいたことがあるリヨンがフランスになったのは14世紀ですし、ボルドーは長く英国の領土でした。現在の私たちが思い浮かべるようなフランスの
3月下旬までドイツは子どもの春休みで、1週間ほどフィンランドに行った。滞在中には少し足を延ばして、日帰りでエストニアのタリンにフェリーで訪れた。タリンまで来ると、物価も安い。ちょうど息子の誕生日だったので、良さそうなイタリアンでお祝いしたが、その価格が質と比較して安いと感じたのは、ヨーロッパに来てから初めてかもしれない。早く、日本でおいしいものをたくさん食べたい。 さて、タリンの市街地を歩いていると、支援の意を示すウクライナ国旗がしばしば目に入る。その後、子どもが喜ぶからと訪れた海洋博物館でも、展示の説明を読むと、ロシア占領の歴史やその脅威が浮かび上がる。ロシアとの戦争のリアリティが、ドイツにいるのとは一段違うのを感じる。
日本、EUなどと共同戦線を 野口悠紀雄・一橋大名誉教授 今回のトランプ米政権による関税は、第1次政権の関税と性質が大きく異なる。第1次の際は、主に経済成長を続ける中国に対抗することが目的だったが、今回は日本や欧州など友好国にまで一律に関税を課す方針だ。自由貿易に対する非常に大きな挑戦であることは間違いない。 トランプ政権の主張には事実誤認に基づくものも少なくない。トランプ大統領は高関税を発動させることで、米国内で製造業の生産が増え、雇用を生み出せると主張している。しかし、米国の製造業は全工程を自国内で完結するような形になっていない。米国の製造業はもはや従来の形態ではなく、設計だけを国内で行い、製造は海外の受託会社に任せる「ファブレス」形態に転換している。保護主義政策で、製造業が復活することはないだろ…
ノーベル経済学賞を受賞した著名な経済学者ポール・クルーグマン氏は2日、自らが配信するニュースレターで、トランプ米大統領が発表した相互関税を「完全に狂っている」と猛批判した。トランプ氏の関税引き上げに関する矛盾点も指摘し「イエスマン」で固められた第2次トランプ政権の危うさに警鐘を鳴らしている。 クルーグマン氏は相互関税について「完全に狂っている」としたうえで「関税率が誰もが予想していたよりも高いだけでなく、貿易相手国について虚偽の主張をしている」と批判した。 例えば、欧州連合(EU)が米国に39%の関税を課しているとの主張については「EUの米国への関税率は3%未満のはず。どこから39%という数字が出てくるのか全く分からない」と指摘。トランプ氏が問題視するEUの付加価値税(VAT)も20%前後で「どうあがいても…
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は28日までに、トランプ米大統領が関税引き上げを理由に自動車の販売価格を上げないよう大手自動車メーカーに警告したと報じた。今月上旬に各社幹部を集めた電話協議で発言したという。 報道によると、トランプ氏は電話協議で「関税を理由に値上げしない方が良い。ホワイトハウスはそのような動きを好ましく思わない」と発言した。参加した幹部は動揺し、値上げすれば罰則的な措置を受けるのではないかと恐れていたという。 トランプ氏は電話協議で、製造拠点の米国への移設など関税引き上げの利点を強調。電気自動車(EV)推進策の見直しや厳格な排ガス規制の緩和など、トランプ政権の自動車政策がバイデン前政権に比べ、いかに優れているかについても語ったという。 トランプ氏は米国外で生産された全ての輸入車に4月3日以降、25%の関税を課すと決定。米国外で生産された自動車部品も5月3日まで
安倍晋三元首相銃撃事件で殺人などの罪に問われた山上徹也被告(44)の刑事裁判は、証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きが奈良地裁で続き、初公判の日程は決まっていない。弁護人らと毎週接見を重ね、事件について「考えない日はないというくらい、考えている」という趣旨の話をしているという。 被告は大阪拘置所に勾留されている。弁護人によると、新聞に目を通し、社会問題全般について興味を持っている。体形は変わらず、淡々として落ち着いた様子で日々を過ごしている。 安倍氏銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題に注目が集まった。被告は「(宗教)2世の人たちにとって良かったのか悪かったのか分からない」「現在のような状況を引き起こすとは思っていなかった」と話したことがあり、こうなることを予想していなかった可能性がある。 被告はこれまで複数回の公判前整理手続きに出席。弁護人には「自分の手続きなの
死刑執行を当日に告知する現行の運用は憲法に反するとして、確定死刑囚2人が執行に従う義務がないことの確認を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(黒野功久裁判長、古田孝夫裁判長代読)は17日、訴えを却下した1審・大阪地裁判決を取り消し、審理を地裁に差し戻した。高裁は「告知当日に執行されない法的地位や利益について審理を尽くさせる」と述べた。 死刑執行は当日朝に告知されている。法令上の明確な定めがなく、死刑囚側は「適正な手続きによらなければ処罰されない」とする憲法31条に反すると訴えている。 昨年4月の1審判決は死刑囚側の確認の訴えについて「死刑判決の取り消しを求めることになる」と述べ、門前払いとしていた。 これに対し、高裁判決は告知時期の運用が仮に違憲・違法だとしたら改めることができるとし、ただちに死刑判決に影響しないと指摘。執行を待つ死刑囚には不安があることから「確認の訴えが必要かつ適切だ」とし
自民党が夏の参院選比例代表で公認候補に決めた杉田水脈元衆院議員は9日、自身のアイヌ民族や在日コリアンに対する差別的言動に関し、公認の選考過程で執行部から問われることはなかったと説明した。党大会後、記者団の質問に答えた。「投稿したブログは削除し、謝罪している。終わった問題だ」とも語った。杉田氏の差別的言動は法務局から人権侵犯認定されている。 派閥裏金事件で、旧安倍派の杉田氏は政治資金収支報告書に不記載があったものの、衆院政治倫理審査会で弁明していない。「政倫審に出席せずに、昨年の衆院選で公認を得た人はたくさんいる」と強調した。参院選で当選した場合、政倫審で説明する考えがあるかどうかを問われ「党の決定に従いたい」と述べた。(共同)
化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、警視庁が2023年、捜査の違法性を指摘する公益通報を3件受けたにもかかわらず、通報者に調査の可否を3カ月以上、通知しなかったことが判明した。公益通報の調査の可否は、受理から20日以内に通報者に伝えるものと解されており、有識者は公益通報者保護法の趣旨に反すると指摘する。 また、警視庁は調査の着手時期や進行状況について、通報から1年以上たった今も通報者に伝えていない。有識者には、調査をしていない可能性を指摘する声もある。 ファクスされた32枚の「内部告発」 関係者によると、3件の公益通報は23年10~11月、警視庁の警察官が内部通報窓口にファクスで送信した計32枚の文書。 冒頭に「大川原化工機事件捜査について、法令違反があったので、内部通報を行います」と記されていた。 内容は①大川原化工機の同業者の聴
バルト海で通信用の海底ケーブルが損傷する事故が相次ぎ、破壊工作の可能性が浮上している。近海では2022年9月にロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム(NS)」「ノルド・ストリーム2(NS2)」が爆破される事件があり、北大西洋条約機構(NATO)は警戒を強めている。 バルト海のフィンランドとドイツを結ぶ光ファイバーケーブルが18日朝、スウェーデンとリトアニアを結ぶ光ファイバーケーブルが17日朝、それぞれ損傷しているのが見つかった。スウェーデン、フィンランドの捜査当局が捜査を開始し、NATOの重要海中インフラ安全保障センター、スウェーデン海軍も原因究明に乗り出した。 バルト海や北海では近年、ロシア船が近隣国の洋上風力発電所周辺の海中送電線や光ファイバーケーブル、パイプラインなどの位置を確認する不審な動きが目撃されており、NATOは海洋での破壊活動に対する監視を強化していた
死刑制度のあり方を議論してきた民間の有識者懇話会(座長・井田良中央大大学院教授)は13日、死刑制度の問題を調査して、存廃や改革・改善を検討することを国会と内閣に求める報告書をまとめた。現行の死刑には問題があり、国民の多くが死刑の存置をやむを得ないと考えているとしても、現状のまま存続させる理由とはならないと指摘した。報告書は政府と衆参両院に提出される。 報告書は、国民が死刑を支持する理由として、犯罪被害者の無念と悲しみに共感するからだと分析。ただ、被害者支援の充実と死刑存廃の議論は本来、別問題であり、死刑の是非に関わらず被害者支援のあり方に立ち入って検討する必要があるとした。
出発式後にバイクで街頭演説に向かう中村勇太氏。父の喜四郎氏をまねた=茨城県古河市鴻巣で2024年10月15日午前9時44分、堀井泰孝撮影 「無敗の男」のバックには、史上最強と呼ばれた後援会の存在があった。前回衆院選の小選挙区で初の敗北を喫し、会も勢いを失ったが、今回再び存在感を示した。支援を受けたのは後を継いだ長男。強固な「保守地盤」に風穴を開けることはできたのか。 消滅した「喜友会」 事実上の与野党一騎打ちとなった茨城7区。区内の首長8人と県議8人は全員が自民系で、自民前職のベテラン、永岡桂子元文部科学相(70)が圧倒的有利とみられていた。 永岡氏に挑んだ中村勇太(はやと)氏(38)は、当選15回を数えた前衆院議員の中村喜四郎氏(75)を父に持つ。「野党系無所属」を標ぼうする勇太氏は県議を6年務めたが、選挙区の古河市以外での知名度は低かった。 父喜四郎氏は選挙では負け知らずだったが、20
衆議院の解散後、SNS(ネット交流サービス)では「白票」に関する投稿があふれている。白票は有権者が投票用紙に候補者の名前などを書かずに真っ白のまま投じる票で「無効票」として扱われるが、近年の国政選挙でたびたび話題になっている。この投票行動に意味はあるのか。専門家は「白票でもいい。まずは投票を」と呼びかける。
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