人工知能(AI)を巡る国際競争が激化する中、日本でもAIに関する初めての法律が成立した。 「AI関連技術の研究開発と活用の推進」を志向する法制度であり、この新法の名称ともなっている。 知的支援ツールとして驚異的な能力を備えた生成AIの社会実装と利用拡大が急速に進んでおり、必要とされていた法整備だ。 政府の司令塔として首相を本部長、全閣僚を本部員とする「AI戦略本部」を置き、大量の情報の高速処理に必要なデータセンターの整備や専門家の育成を進める「AI基本計画」の策定に当たることなどが規定されている。 AI新法成立を機に、その第1条に掲げる「国民生活の向上と国民経済の健全な発展」が順調に進むことを期待したい。 ただし、実効性においては首をかしげる点がある。罰則規定がないことだ。AIで作った本物そっくりの偽画像・音声は犯罪行為などにも悪用される。それがもたらす社会不安を解消するという目的も、新法
