『ナチュン』を読んだ。1巻から3巻までをまとめて購入し、いっきに読みきった。 非常に面白い。そうか。フィールドワークの経験は、このような形でアウトプットすることもできるのか。 評価に値する人類学的な理論や知見が展開されているわけではない。しかし、あの、フィールドワークする者だけに見える特有の世界が、それなりの質感を伴って感じられるような作品は、滅多にないと思う。とにかく生々しい。 当たり前のことであるが、『ナチュン』はフィクションである。しかし、実在する場所と人物が、まるで実在していないかのような工夫がこらされたうえで描かれたようなフィクションといえる。 この漫画の舞台である場所で、私はかつて生活していたことがある。だからこそこの作品に私は、過剰な生々しさを感じてしまうのだろう。 相変わらず、同じようなセリフを喋るゲンさんに、なんともいえない懐かしさを私は感じた。 ゲン 「重森。お前は彼女
