大日本帝国のかいらいだった「満州国」(現・中国東北部)で、細菌兵器の開発や捕虜への人体実験を秘密裏に実行した旧日本陸軍の731部隊(関東軍防疫給水部)。国際条約に反するその所業から「悪魔」と称された。 80年前、14歳で入隊した長野県宮田村の清水英男さん(94)は、元少年隊員として「見たこと、やったこと」を公に語っている。しかし、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷は残酷だ。「うそつき」「にせ者」―。何より胸をえぐられたのは身近な人からの反対だった。「日本をだめにするのか」 これまで通り証言を続けるべきか―。葛藤を抱く中で2025年2月、東京の学校に招待された。隊員だった頃の自分と同じくらいの年代の生徒たちを前に経験を語り、質問を受けた。清水さんは、これまで明かすことのなかった思いを吐露することになる。(共同通信=松森好巨)
