東京の、それも多摩地域は南北の連絡に弱点を抱えているとよく言われる。そもそも東京都自体が東西に細長い形をしていて、都心部が圧倒的な吸引力を持っているのだから致し方ない部分もある。あるのだが、それにしたって多摩地域にあって南北を結ぶ鉄道路線はあまりに少ない。 ただ、そうした中でもまったく南北の鉄路がないわけではなくて、とりわけ中央線の国分寺あたりから都県境を跨いで西武池袋線・新宿線が交わる所沢あたりにかけては、いくつもの南北路線がくんずほぐれつ行き交っている。 中核を成すのは西武の路線で、国分寺線に多摩湖線、またそこに新宿線と拝島線、西武園線なども入り混じる。加えて、その真ん中をJR武蔵野線がズバッと縦貫。なるほど、これだけいくつもの南北路線が集中していたら、さぞかし便利に違いない。 ……が、この地域に暮らしている人でもなければ、実にややこしいのだ。国分寺線と多摩湖線はいずれも国分寺駅から北
