「アメリカ真実告知会」はその名に反してミソメイニアの拠点で、地方支部の役員は「我々は今まで起こったこともないような、これから先も起こり得ないような、とびっきり新しい何かを必要としているんだ。さもなければ、リベラルの馬鹿どもにいいようにされてしまう」と仲間を叱咤する。 こうして「NASAはアイダホの森林を焼き払っている。人口統計局は青い目の人を統計に加えることを拒否している。グローヴァー・クリーブランド(第22代、第24代合衆国大統領)の頭蓋骨はウォーターゲート複合施設の地下に埋められている。コロンバイン銃撃事件はCIAの仕組んだものだ。パールハーバー攻撃はでっち上げだ」という虚言が拡散され、多くのアメリカ人がそれを信じている。 『虚言の国』の主人公はボイドという49歳の男で、ピュリツァー賞の候補にもなった元ジャーナリストだが、その人生はすべてが嘘で、「もしそれが真実らしく響いたなら、それは
