「経験者だから採用したのに」 「基本的なことすらできないじゃないか」 「何度同じミスを繰り返すんだ...」 「このままではケガ人が出てしまう」 として、会社がAさんを解雇した。Aさんの実働日数は、わずか10日だった。 試用期間中の解雇がOKになるケースは少ないが、Aさんの解雇について、裁判所は「適法」だと判断した。(東京地裁 R6.9.18) なぜこのような結論となったのか…。以下、詳しく解説する。(弁護士・林 孝匡) 事件の経緯 会社は、銑鉄鋳物(せんてついもの:鉄と炭素を多く含む合金である「銑鉄」を型に流し込んで固めたもの)の製造および加工販売などを行っており、自動車のエンジン部品の製造に必要なプランジャーチップ(金型に流し込んだアルミを押し付けるための部品)などを製作している。 Aさんはその製作などを行う機械工として採用された。 プランジャーチップは業務上、その加工品
