伊住禮次朗 今日は、茶道文化研究の領域において、長くその研究に携わっておられる筒井紘一さんをゲストとしてお迎えします。私自身もその研究に取り組んでいるので、何かと筒井さんに相談することが多いのですが、そもそもお茶の道を志したきっかけ、研究をしようと思った経緯を教えていただけますか。 筒井紘一 昔から映画監督か新聞記者になりたかったので、大学は早稲田大学を選んだんです。文学部の東洋哲学科に入りました。 夏休みに実家に帰りますと、母親がお茶をやっていましたので、一緒に稽古場に連れていってくれたんです。九州の筑豊ですので、炭鉱主がたくさんいらっしゃいました。母親と行ったのも、見たこともないようなお家なんです。いわゆる新興の財閥で、こんな家があるのかと思いましてね。お茶に興味を持ったのはそれが最初でした。 早稲田の東洋哲学科は、仏教学か中国思想か日本思想なんです。漢文はあんまり読めないから日本思想
